PRINCESS story
「こんにちは」
大きなお見舞の花束を持って、私は奏斗と一緒に病室へ入った。
昨日突然、沙穂に会ってやってほしい、と言われて、正直戸惑ったし、今だってまだ心の準備が出来ていない。
でも、奏斗の大切な人だから、素直に会ってみたいと思った。
奏斗が私を見てない、ということを実感してしまうから苦しいけど、会えば何かが変わるかもしれない。
「琴葉さん!初めまして。来てくれて、ありがとう」
ベットから体を起こしながら、沙穂さんは私に笑顔を向けた。
沙穂さんは、写真の時よりも痩せてしまっているけれど、想像よりもずっと明るい雰囲気を持った人だった。