PRINCESS story
「亡き王の遺言は、王室が最も重んじるべき文書であり、これに従うのは長年のしきたりだ。
お前も、分かっているだろ?」
「王室のしきたりとはいえ、この遺言に従うとは…
父上は、僕に、見ず知らずの女性と結婚しろ、とおっしゃられるのですか?」
「そういうことになる」
いずれ王になる俺に、自由がないことは覚悟していた。
でも、一生を供にする女性さえ自分で決められないなんて、ひどすぎる。
それに……
俺は、きっと妻となる女性を愛せない。
沙穂を忘れて違う女性を愛することなんて、俺には出来るはずがないんだ。