PRINCESS story
「そんなこと、できない。
奏斗のそんな顔、ただ見てることなんて」
「俺なんて……どうでもいいんだ。どうなったって…」
「どうでもいいわけない!」
私は無意識のうちに叫んでいた。
「よくないの。
ねえ、奏斗……辛いなら、その辛さを私にぶつけてよ。
私、受けとめるから……
沙穂さんと約束したから…私、奏斗を…」
下を向いている奏斗に目線を合わせようとした時だった。
「どうして、どうして…沙穂なんだよ」
小さな、でも苦しげな声と共に、奏斗の目から涙がこぼれた。