PRINCESS story
「……宮入りは、今日だ」
「…っ今日…?そんな、僕に何の相談も無しに?」
「昨日、彼女には宮殿に来てもらおうかと思っていたんだが…いろいろ事情があって今日になった。
お前に相談したところで、なにかが変わった訳ではあるまい」
「しかし……」
「…話は以上だ。
もう、結婚はマスコミに発表してある」
俺は、返事をせず父親の部屋を出た。
ドアを乱雑に閉めることで、せめてもの反抗を表したつもりだった。
後ろから中野さんが追ってくるのが気配で分かる。
「王子」
「なんの仕打ちだよ…」
「王子、久仁王は、ちゃんと理由があって琴葉様をお選びになられました」
「中野さん…知ってたんですね?」
「申し訳ございません…」