PRINCESS story
「…もし、奏斗が琴葉ちゃんのことを不幸にしたら、その時は、俺が君を迎えに来るよ」
そういたずらっぽく言った和也さんは、笑っていた。
きっと無理矢理笑っているんだ。
「しばらく…こうやって2人だけで会うのはやめにしよう」
そう言われて、自分勝手だけれど、寂しいと思ってしまった。
いつも悩みを聞いてくれたのは、和也さんだったから。
「そんな顔しないで、笑って。
君に似合うのは、涙じゃなくて笑顔だよ」
その言葉に、私は今出来る最大限の笑顔を返した。
「いい笑顔だ…
少し距離を置いたら、新しい何かが見えるようになるかもしれないね…」
そう小さく呟いて、和也さんは宮殿の中へ戻っていった。