PRINCESS story
「大丈夫?」
やっとの思いで入口に辿り着くと、奏斗は私に優しく言った。
「うん、ありがとう」
「せっかくだし楽しんで回ろう?」
「お待ちしておりました」
美術館の従業員が数人、私たちを出迎えてくれた。
「本日、ガイドを努めさせていただきます、宮崎です」
そう言ったのは、50代くらいの男性。
私たちは早速美術館を回りだした。
「わあ、綺麗…」
美しい日の出が描かれた絵を見て、思わず少し叫んでしまった。
こんな風に美術館に来るのは久しぶりで、思ったより楽しんでいる自分が居た。