PRINCESS story
「琴の音色のように誰かを幸せにする存在でいて欲しい、葉のように強く生きて欲しいって、口癖のようにお母さん言ってた」
「それで、琴葉、か……いい名前だね」
「…ありがとう」
「王子、そろそろ取材のお時間です」
後を付いてきていた中野さんが奏斗に声を掛けた。
「分かりました」
私と奏斗は出口へと向かった。
たくさんの報道陣が私たちを待ち構えているのが見える。
少し気が重かった。
でも、私は笑顔で出口を出ようと思った。
だって、王子妃だから。
大丈夫、奏斗が隣に居る。