PRINCESS story
「手……」
「ん?」
「つないだままでもいい…?」
繋がれた手を見て私が言うと、奏斗は笑顔で言った。
「もちろん」
「……ありがとう」
この手があるだけで、心強い。
「それじゃあ、行こう」
「うん」
《王子、琴葉様、本日の公務はいかがでしたか?》
出口を出るとすぐに、質問が始まった。
いつもの公務の時と同じような質問に、内心ほっとする。
「この美術館の100周年記念式典に招待していただいたこと、とても嬉しく光栄に思います。
僕も妻も、素晴らしい絵をたくさん拝見することができ、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました」