PRINCESS story

《ご覧になられた中で、印象に残った絵はございましたか?》


「はい。桜の大木が描かれたものが、印象的でしたね。
桜は、僕にとって思い出のある、特別な花なので」


奏斗が私を見ながら答える。

嬉しくて、少し幸せな気分だった。



《琴葉様は、この公務いかがでしたか?》


「…素晴らしい作品を数多く拝見できて、とても感動しました」



「…王子、姫、そろそろお時間です」


車の運転をしてくれている鈴野さんが、私たちに声を掛ける。


それを見て、奏斗が言う。


「それでは、僕たちはそろそろ時間が来てしまったようなので……」



< 239 / 399 >

この作品をシェア

pagetop