PRINCESS story
《ご覧になられた中で、印象に残った絵はございましたか?》
「はい。桜の大木が描かれたものが、印象的でしたね。
桜は、僕にとって思い出のある、特別な花なので」
奏斗が私を見ながら答える。
嬉しくて、少し幸せな気分だった。
《琴葉様は、この公務いかがでしたか?》
「…素晴らしい作品を数多く拝見できて、とても感動しました」
「…王子、姫、そろそろお時間です」
車の運転をしてくれている鈴野さんが、私たちに声を掛ける。
それを見て、奏斗が言う。
「それでは、僕たちはそろそろ時間が来てしまったようなので……」