PRINCESS story
そんな、事実だなんて…
違う、違う。
「…違います……」
私なりに大きな声で言ったが、その声は記者には届いていないようだった。
本当のことを伝えたいのに、今の状況では混乱してしまって言葉に出来ない。
悔しくて、情けなくて、涙が溢れそうになった。
その時だった。
「あの記事は、事実ではありません」
奏斗が報道陣に向かって言った。
奏斗が私の手を握る力が、少しだけ強くなる。
「事実は、僕からお話します」