PRINCESS story
私の為に頭を下げている奏斗の姿を見て、堪えていた涙が溢れた。
私は、弱い。
自分のことくらい、自分でどうにかするべきなのに…
奏斗、ごめんね……
でも、ありがとう。
しばらくして、奏斗は頭を上げると、一言だけこう言った。
「皆様が、今回の記事が事実ではないことを理解してくださると信じています」
そして、一度何かを決意したかのように目を伏せると、奏斗は未だ質問し続ける報道陣を無視して、私の手を強く握りながら車の方へと歩き出した。