PRINCESS story
私の前に、数えきれないほどの着物が並べられた。
「琴葉様、お好きなものをお選び下さい」
私はそう言われ、迷わず桜の着物を手に取った。
理由は、母が桜の葉が好きだったから。
「これにします」
「それでは、早速着付けを。佐藤!」
「あっ…私、1人で着られます」
中野さんが着付けの人を呼んでくれようとしたが、私は断った。
「しかし……」
「大丈夫です。ちゃんと、母から教わりましたから」
私はそう言うと、笑顔をつくり奥の部屋へ向かった。