PRINCESS story
「琴葉」
「ん?」
時計が11時を指しているのを見て、俺は慌てて琴葉に声を掛ける。
危うくプレゼントを渡す前に、24日が終わってしまうところだった。
「改めて、誕生日おめでとう」
「ありがとう!」
「本当は、ケーキとか立派な夕食を用意できたら良かったんだけど…」
「そんなもの無くても、こうやってここに連れてきてくれただけで十分。
気持ちが何より嬉しい」
俺に気を遣って言ってくれてるのかもしれないけれど、その言葉は俺の心を軽くしてくれた。