PRINCESS story
朝食を食べると、俺たちは午前のうちにここを出発しなければならないため、帰る支度を始めた。
かばんに荷物を詰めていると、名残惜しく、もっとこうして琴葉と2人だけで居たい、と思ってしまう。
山のようにたまっている王子としての仕事さえなければ、もっとこうしていられるのに…
「琴葉、そろそろ行ける?」
隣の琴葉に声を掛けたが、返事がない。
「琴葉…?」
「えっ?あっ、ごめん」
ぼーっとしていて俺が声を掛けたことに気付いていなかったみたいだ。