PRINCESS story
「最近、たまに思う時があるの。
王子妃として奏斗の側にいることに、耐えられなくなる日が来るんじゃないかって」
下を向いていた琴葉が、もう一度俺の目をしっかりと見た。
その目には、何か決意のようなものが表れているように思えた。
俺は、目をそらせなかった。
「奏斗……はっきり言うね。
もう私に、優しくしないで」
「突然、どうしたんだよ?」
「私がいけないの。
会ったばっかりの時、俺のことを本気で愛さないでって言われてたのに…
それなのに、気が付いた時にはもう、奏斗しか見えなくなってた」
俺は、驚きと困惑で言葉を返せない。
「私には沙穂さんを超えることなんてできないって分かってるのに…」
無理矢理に作った笑顔で琴葉が言う。