PRINCESS story
第四章
命日
2月11日。
今日は、母の4回目の命日。
忘れもしない、あの事故からもう4年が経った。
あの日、私と母は横断歩道を歩いていた。
そしたら、信号を無視したトラックがものすごいスピードで私たちの方へ向かって来たんだ。
固まって身動きが取れない私を、母は突き飛ばした。
…そして次の瞬間、鈍い音と共に母の姿が消えた。
あの時、1秒がまるで1分に感じられたのを今でもはっきりと覚えている。
夢であってほしかった。
でも、現実だった。
路上に投げたされた血まみれの母の姿を忘れた日は、一度だってない。
「良かった…琴葉…」
それが、母の最後の言葉だった。
母は、私を守って、この世を去った。