PRINCESS story

「お母さん、久しぶり」


来る途中に買った花を手向けながら、お墓の中で眠っている母に話し掛ける。

既に花とお酒が手向けられているところを見ると、お父さんと蓮にぃは、既にお墓参りに来たようだった。



「全然来れなくてごめんね」


一呼吸置いてから話を続ける。


「お母さん、実はね…私、結婚したんだ」

お母さんが生きていたら、どんな顔をするだろう?


「私、王子妃になったの。この私がだよ?
笑っちゃうよね。
お母さんが事故に遭ったこともこの結婚も、全部全部長い夢だったらいいのに…」



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