PRINCESS story
「でもね」
返事はないけれど、きっとお母さんは聞いてくれているはず。
「私、決めたよ。強くなるって。
それで奏斗を支えるって。
あんなに寂しい目をした人に出会ったのは初めてだから。
彼を救いたいと思った。
彼の光になりたいんだ。
お母さん、天国から見ててね。
いつか、みんなに認めてもらえるような王子妃になってみせる。
その時までは、どんな辛いことがあっても負けない」
お母さんに語りかけると同時に、本当は自分にそう言い聞かせているのだった。
「また来るからね」
私はそう言ってお墓を後にした。