PRINCESS story

「…王子………」


少し経ってから、疲れ切った表情の河西さんが琴葉の部屋から出てきた。



「琴葉は…?」

「熱は高いのですが、薬を入れて頂いたので、そちらはお休みになれば大丈夫かと。しかし……」


河西さんが言いづらそう口ごもる。


「…何か、他にも…?」

「……それが……」

「…それが?」


「あの…中へ、お入りください」



河西さんに続いて部屋へ入る。


琴葉は、制服から部屋着に着替えていた。



「……理由は、まだ分かりませんが…」


そう言いながら河西さんがそっと琴葉の腕をめくった。




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