PRINCESS story

「今日……何があったの…?」


俺がそう尋ねると、琴葉は目をそらして言った。


「お墓に行った帰りに具合が悪くなって…途中で倒れたみたい」

「それだけ…?」


琴葉は目をそらしたまま頷いた。

嘘を付いているのが分かる。


琴葉はきっと、傷の理由を自分から言おうとはしない。


俺に心配を掛けないために……



「他にも、何かあったでしょ?
お願いだから…隠さないで言ってよ」


「……ないよ、なんにも……」


「嘘だ…そんなの……」





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