PRINCESS story
俺は琴葉の腕を多少強引にめくった。
痛々しい傷があらわになる。
「じゃあ、これは何?」
自分の腕に刻まれた傷を見て、琴葉は驚いた表情を見せた。
そして、諦めたように静かに口を開いた。
「帰りに……襲われたの」
「襲われた?」
「3人の男に突然囲まれて……殴られた…
訳がわからないまま水も掛けられて……」
その時のことを思い出しているのか、琴葉の手が震えている。
俺は、そっと手を握った。
「…話せる?」
琴葉は小さく頷き、続けた。
「そのままそこで…気を失った。
気が付いた時にはもう真っ暗で…
水のせいで携帯も使えなくて…」