PRINCESS story

「中で王様と王妃様がお待ちです」


中野さんに言われ、俺と彼女は宮殿へ入った。



「琴葉さん……待っていましたよ」

「ようこそ、王室へ」


中に入って早々、俺の両親である王と王妃が言った。


彼女は明らかに緊張している。


無理もない。

きっと、雲の上の世界に足を踏み入れてしまったかのような気分なのだろうから。


「琴葉、と申します」

彼女は、深々とお辞儀をした。


「そんなに固くならず、顔をあげなさい」


母の言葉に、彼女がゆっくりとためらいながら顔を上げる。



「それでは早速、婚礼の儀を始めよう」


父のその一言で、周りの人々が皆、移動を始めた。


「俺たちも行こう」

「はい」


俺と彼女もそれに続いた。



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