PRINCESS story
疑念
私は、志保さんの部屋へと向かった。
志保さんには、なんとなく苦手意識をもってしまう。
ノックすると、志保さんがドアを開けた。
「あら、珍しい。何か私に言いたいことでも?」
「いえ、ただ…渡したいものが」
「中にどうぞ」
私は、部屋に入れてもらった。
初めて入るこの部屋からは、志保さんが、几帳面というより完璧主義であることが伝わってくる。
ただその空気の中に居るだけで、どこかとてもアウェイな場所に来てしまったような気分になった。
「で、用件は?」
「……ほんの気持ちなんですが…
もし良ければ、召し上がって下さい」