PRINCESS story
「私、いろいろと忙しいの。
そろそろもういいかしら?
あ、これ、怖くて食べられないから、持ち帰ってね」
ラッピングされた袋を指差しながら志保さんが言う。
私は素直にその言葉に従い、袋を持つとドアへ向かった。
ドアに手をかけた私に、念を押すかのように志保さんが言った。
「そろそろおとなしく引き下がりなさい。
もちろん、奏斗王子もね。
こんなこと言われて悔しいでしょう?
でも、あなた達は何も出来ない。
無力なんだから、諦めた方が身のためよ」
私はたまらず反論した。
「今はまだ無力かもしれません。
でも、奏斗が王子で私が王子妃であることは事実です。
だから……負けません」