PRINCESS story
部屋の外から琴葉の様子をのぞくと、琴葉の手は震えていた。
必死でその震えを止めようとしているのが見て取れる。
「…大丈夫?」
部屋に入り、ベットに腰掛ける琴葉に話し掛ける。
すると、琴葉は笑顔を俺に向けた。
「私は大丈夫」
さっきまで震えていたのに、気丈に振る舞おうとする…
琴葉は強い。
でも、その強さが心配でたまらなかった。
「……あの猫、大丈夫だった?」
今度は心配そうに琴葉が言う。
「うん」
「……死んじゃったりしていないよね?」
自分が一番危険だったのにも関わらず、こんな状況でも猫の心配をする琴葉の優しさに、なんともいえない感情を抱く。