PRINCESS story
恐怖で息をすることさえ忘れてしまいそうだった。
足下を見ると、封筒が落ちていた。
激しく車体が揺れる中、なんとかそれを開き紙を取り出す。
「そんな……」
そこには、ただ一言、こう書かれていた。
『死ね』
まさか……
これも誰かに仕組まれたこと?
私を殺すために、誰かが車に細工をした…
そうとしか考えられなかった。
「あと、少しで宮殿です…
もう少ししたら、どこかにぶつかって車を止めます。
しっかり、つかまっていてください」
必死にハンドルを切りながら、鈴野さんが言った。
「鈴野さん…ごめんなさい…」
私のせいだ…