PRINCESS story
「奏斗、ありがとう。
でも、お願いだから、王子の座を降りるなんて言わないで」
琴葉は涙を流していた。
「奏斗は、王子で居なきゃいけない。
たくさんの人があなたに期待してるから。
私のために、その皆の思いを無駄にするなんて、だめだよ」
「琴葉……」
「王様」
もう一度琴葉が父の方に向き直る。
「王様、奏斗は王子で居るべき存在だと私は思います」
「琴葉姫、よく言ってくれた。
奏斗、いいか、お前は王子なんだ。
しっかりと日本の未来を背負いなさい」
「しかし…」
「王様……本当にありがとうございます」
琴葉は涙を流しながら父に言った。