PRINCESS story


「まだ熱あるのに…
どうしてこんなに無理したの?」


部屋に戻ると、奏斗が私に言った。



「どうしても、私が止めなきゃいけないって思ったの。
私のせいだから……」



私は、奏斗に、どうして手紙のことを隠したのか責められるだろうと覚悟していた。


でも、違った。


「琴葉、ありがとう」

「えっ?」


「俺のためでしょ?
俺のために手紙、隠してたんでしょ?」


奏斗は、全部お見通しだ。



「気付いてやれなくてごめんな。
もっと早く気付けたはずなのに、俺は何にも知らずにいた。
結局、俺のせいで、何度も琴葉を危険な目に遭わせた」




< 358 / 399 >

この作品をシェア

pagetop