PRINCESS story
「奏斗のせいじゃない。
奏斗、これから先、私のために王子の座を降りるなんて、絶対に言わないで」
「それは……約束はできない」
「どうして…?」
「だって、今の俺にとっては、琴葉が一番大切だから」
奏斗が私の目を見ながら続ける。
「俺が一番怖いのは、琴葉を失うことだ。
琴葉が危険な目に遭う度、怖くて怖くてたまらなかった。
琴葉が消えてしまうんじゃないかって。
また、1人になるんじゃないかって」
「奏斗……」
奏斗の弱々しくて、でも優しさのこもった眼差しに、思わず動けなくなる。
「琴葉さえ居てくれれば、何もいらない。
それが王子の座だったとしても」