PRINCESS story
奏斗が私を抱きしめた。
強く、でも、優しく。
「琴葉……このまま聞いて」
奏斗が私を抱きしめたまま言う。
「俺は特別な立場だから、この立場に居る以上、普通には生きていけない。
琴葉も、王子妃で居る限り…俺の妻で居る限り、自由には生きれない。
一歩外に出れば皆に注目されて、そこでは笑顔で居ないといけない。
それだけでも大変なのに、今回みたいにこの立場のせいで、危険な目に遭うことだってあるかもしれない。
そんな中で自分を殺して生きていくのは、簡単じゃない。
きっと、この世界で生きるのは、どんな世界で生きるより苦しくて、辛いことだ」