PRINCESS story
「出会いは、愛のない結婚だった。
だけど、今は…
心から愛してる、って言える。
琴葉…
俺、この世界で琴葉がなるべく傷付かなくて済むように、精一杯守るから。
精一杯、幸せにするから。
だから、側に居て…」
私はその言葉に頷いた。
何度も、何度も頷いた。
嬉しかった。
言葉では言い表わせないくらい、幸せだった。
「…奏斗、私、絶対、どこにも行かない。
苦しくても、辛くても、奏斗が居てくれればきっと頑張れる」
私の頬を伝う涙を、奏斗が手でそっと拭ってくれた。
「琴葉……ありがとう」