PRINCESS story
「こちらが姫のお部屋でございます」
婚礼の儀のあと部屋に案内してくれたのは、私の付き人兼教育係の河西 翔子さん。
20代後半位に見え、なんとなく知的な雰囲気を感じさせる女性だ。
「明日は国民向けの結婚パレードがございます。今日はお早めにお休み下さい」
「はい。あの、翔子さん、とお呼びしてもいいですか…?」
「光栄です」
「翔子さん…
明日から、こんな私を、どうかよろしくお願いします」
私は頭を下げた。
「姫、一つだけ申し上げておきたいことがございます」
「…なんでしょうか?」
「私は、何があっても姫の味方です。
そのことだけは、どんな時もお忘れにならないで下さい」
「翔子さん……ありがとうございます」
私がそう言うと翔子さんは笑顔を見せた。