PRINCESS story
未来へ
公務を終えて宮殿へ戻ったのは、夜の9時を過ぎた頃だった。
公務自体は5時に終わっていたのだが、今日はあるところに寄っていた。
明日、4月2日は俺の誕生祝賀会が毎年と同じように行われるが、俺にとってはもっと重要なことがある。
それは、琴葉との結婚記念日。
あの愛の無い結婚から、もう1年が経つ。
この1年、本当に様々なことがあった。
その中で、俺は経験したことのない感情をたくさん持った。
誰かを失う悲しみ、相手の気持ちが分からないもどかしさ、側に居たいと思う愛しさ、そして愛する幸せ。
こんなに色々な感情があることを教えてくれたのは琴葉だった。