PRINCESS story

「おいしい!」


俺が料理を食べてそう言うと、琴葉は嬉しそうな笑顔を浮かべた。


本当に琴葉が作ったのかと疑うほど、どの料理を食べても美味しい。



「俺さ、今まで誕生日が大嫌いだった」


「…どうして?」


「こういう立場にいると、年齢を重ねるごとに期待や責任が大きくなっていく。
それが、苦痛だった」



でも、今はもう違う。


俺は変わった…

琴葉と出会って、変われた。



「結局、俺は逃げてただけだったんだ。
責任を負うのは当たり前のことなのに、その現実から逃げてた」


情けないな、と話しながら思う。



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