PRINCESS story
「お待たせ、靴を選ぶのに時間かかっちゃって」
後ろから琴葉が俺に言った。
「いいよ」
そう言って振り向いて驚いた。
言葉を失った。
そこに立っていた琴葉は、今までに見た琴葉の中で、一番綺麗だった。
祝賀会のために薄いピンクのドレスを着て、いつもより少し高いヒールを履いて。
化粧は決して濃くないが、琴葉の色の白さを引き立たせていた。
「奏斗?」
「ごめん……驚いた…」
琴葉が不思議そうな顔をする。
「……綺麗だよ、すごく」
思わず出た俺のこの言葉に、琴葉は頬を赤く染めた。