PRINCESS story
「…嬉しい」
「誰にも見せたくなくなるよ…」
「えっ?」
「こんな琴葉、誰にも見せたくない。
俺だけが知ってたい…」
いつから、俺はこんなに欲張りになったんだろうか?
「琴葉、今日はプレゼントがあるんだ」
「私に?奏斗の誕生日なのに?」
「今日は確かに俺の誕生日だけど、俺たちの結婚記念日でもあるだろ?」
俺はそっと握っていた左手を開いた。
「指輪……」
琴葉が目を見開いて俺を見上げる。
「この結婚は、俺と琴葉の決めたことじゃなかった。
だけど、今、これを俺の意思で渡したい」