PRINCESS story
俺は、指輪をはめた琴葉を見て、どうしてこの指輪が目に止まったのかが分かったような気がした。
きっと、飾らない美しさ、眩しすぎない輝きが琴葉にそっくりなんだ。
琴葉は、無言でもう一つの指輪を手に取った。
そして、その指輪を、ゆっくりと俺の薬指にはめた。
「楽しいときも辛いときも苦しいときも…
どんなときも奏斗を側で支え、一生、愛すると誓います」
琴葉がうっすらと涙を浮かべながら、笑顔で言った。
その姿があまりにも愛しくて、その言葉があまりにも嬉しくて、俺は琴葉を抱きしめた。
「結婚式みたい…
2人だけの、結婚式」
小さな声でそう言う琴葉をもっと強く抱きしめた。