PRINCESS story

俺は、指輪をはめた琴葉を見て、どうしてこの指輪が目に止まったのかが分かったような気がした。


きっと、飾らない美しさ、眩しすぎない輝きが琴葉にそっくりなんだ。



琴葉は、無言でもう一つの指輪を手に取った。


そして、その指輪を、ゆっくりと俺の薬指にはめた。



「楽しいときも辛いときも苦しいときも…
どんなときも奏斗を側で支え、一生、愛すると誓います」


琴葉がうっすらと涙を浮かべながら、笑顔で言った。


その姿があまりにも愛しくて、その言葉があまりにも嬉しくて、俺は琴葉を抱きしめた。



「結婚式みたい…
2人だけの、結婚式」


小さな声でそう言う琴葉をもっと強く抱きしめた。



< 393 / 399 >

この作品をシェア

pagetop