PRINCESS story
「入ってもいい?」
彼にそう言われ、私は頷いた。
そういえば私たち、会って初日だけど、実は夫婦なんだ。
この信じられないような事実に、無意識のうちにため息がこぼれる。
「…嫌だったよね?」
「えっ?」
驚いて彼の顔を見る。
改めて近くで見る彼は、私の夫にはもったいないほどの容姿を持っていた。
絶対、私なんか妻にふさわしくない…
そう思うと再びため息がこぼれた。
「ほら、またため息」
「いや、これは嫌とか、そういうため息じゃなくて……」
慌てて否定しようとしてみたものの…
「いいよ、無理しなくて」
彼に笑われる始末………