PRINCESS story
「……辛い?」
「えっ?」
「王室に入るの」
辛い……
そう言おうとしたけれど、奏斗の顔を見てはっとした。
彼は、寂しげな、そして悲しそうな目をしていた。
私は、辛い、と口に出来なくなった。
「不安なだけ。あなたと本当に夫婦になれるかどうか」
代わりにこう言った私に、彼はもっと悲しい目をして言った。
「なれるか、なれないかじゃない。なるしかないんだ」
「なる…しか、ない?」
「俺たちに求められてるのは、未来の王室を築く王子夫妻の姿なんだ……
周りの大人にとって、俺たちの気持ちなんてどうでも良いんだよ」