PRINCESS story
「琴葉、何を言われても笑顔で、手を降るんだ。
それが今日の俺たちの役目だから」
「うん」
宮殿の外へ出ると、沿道にはたくさんの人々が歓声を上げながらこちらを見ていた。
マスコミのカメラも多い。
「すごい……」
今まで体験したことのないような状況に、思わずそう言ってしまった。
隣にいる奏斗は、私がまだ見たことのないような笑顔を振りまきながら、観衆に手を振っている。
その姿は、まさに一国の王子だった。
また、彼が少し遠い存在に感じられる。
そんな彼を見て、私も王子妃としての役目を果たさないといけないのだと思い、一度大きく空気を吸った。
よし、笑顔だ………