PRINCESS story
「奏斗王子、琴葉様、おめでとう!」
「お幸せに!」
「まあ、綺麗!」
様々な言葉が飛び交う沿道を、ゆっくりと車は進んでいく。
「こんなにたくさんの人が見に来てくれるんだね」
「それだけ注目されてるのさ。
でも、皆を騙してるみたいな気分になる。
本当は、俺たちなんて昨日出会ったばっかりなのにさ……」
そのことを思うと、私も胸が痛かった。
でも、これもきっと王室では仕方のないこと。
だって……私たちは人形、だから。
「お二人とも、お顔をこちらに!」
マスコミの記者らしき人がそう言うのが聞こえる。
どのカメラだろう、と思い少しキョロキョロしていると、奏斗が言った。
「少しだけ、サービスするか」