PRINCESS story
ただ手を握られただけ…
なのに、なんだか鼓動が速くなる。
私たちは夫婦だし、これくらいのことは、他の人からみれば、きっと普通のことなのだけど…
「琴葉、次も絶対笑顔のままでいて」
「えっ?次?」
「もっと仲のいい姿を見せる必要があるんだ。
俺たちは自分たちの意思で結婚したことになってる。
マスコミに不仲説でも書かれたら、大騒ぎになる」
「そうなの?」
「ああ」
まさか、笑顔の私たちがこんな会話をしてるなんて、誰も思っていないはず。
きっと、観衆やテレビの視聴者の目には、私と奏斗が初々しく、仲良く話しているように映るのだろう。