PRINCESS story
中野さんが、上着のポケットから封筒を取り出した。
「これは、今は亡き先代の王の遺言でございます。一部、お読み申し上げてもよろしいでしょうか?」
私が頷くと、中野さんは一呼吸置いて、その封筒の中身を読み出した。
「『私の命は、もう長くない。
これは、私の遺言である。
奏斗が18歳になったあかつきには、三上 琴葉を、奏斗の妻として桜ノ宮王室に迎えること。
しかし、奏斗が心に決めた相手が居るのならば、この限りではない。』
以上が、遺言の一部であります」
何…これ。
「突然のお知らせとなったこと、お詫び申し上げます。ただ、情報が漏れるのを防ぐには、こうするしかなかった…どうかご理解ください」