PRINCESS story
部屋に戻ってすぐ、私は着慣れないウエディングドレスを脱いだ。
すると、やっと何か束縛のようなものから解放されたような気分になれた。
今日1日、王子妃として過ごしてみて、私はその荷の重さを身をもって感じた。
言動の1つ1つが世間の注目の的。
自由もプライベートも、本当にないのかもしれない。
「私でいいのかな…」
思わず弱音を吐くと、それを聞いていた翔子さんが言った。
「今日の姫の記者会見での返答、素晴らしかったです」
「でも、今日は奏斗に助けてもらってばっかりでした…
…奏斗が居てくれなかったらどうなっていたんだろうって思うと、怖いです」
「姫、それでいいんです。
初めから完璧な王子妃になれる方なんて、この世のどこを探しても居ないですから」
翔子さんの言葉は、私の気持ちを軽くしてくれた。
「そうですよね…ありがとう、翔子さん」