PRINCESS story

私とありさと梨奈。

いっつも一緒にいた親友。


こうやって前はよくベランダで話した。

恋ばなしたり、お弁当食べたり………

記憶が蘇り、涙がさらに溢れてくる。



「琴葉………どうして…?どうして?」

梨奈が言う。


「泣いてるだけじゃ、分からないよ。
答えてよ……どうして?」



奏斗との結婚が王の遺言であったことは決して口外しないよう、釘をさされている。


でも、2人にだけは話してしまおうか…

そんな思いが脳裏をよぎる。


その時、ふと、悲しい目をした奏斗の顔が浮かんだ。



……やっぱり、話せない。


奏斗は、1人だから。

それなのに、私だけ楽になろうなんて、そんなの、だめだ……



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