PRINCESS story
「王の遺言に逆らうことは、許されることではございません…
これは、王室のしきたりなのです」
こんなの、絶対おかしいよ…
「私は…いつ、王室に?」
「今日、そうでなければ明日のつもりでお迎えに上がりました」
「そんな突然言われても…」
「申し訳ございません。
しかし、琴葉様、王室は、それほど特別な世界なのです。
奏斗王子と琴葉様をマスコミから守るためには、こうするしかなかったのです」
私にはもう、反論する気力など残っていなかった。
しばらくの沈黙の後、口を開いたのは父だった。
「せめて…あと1日だけでも、私たち家族で過ごす最後の時間を頂きたい」
父は、目に涙を浮かべながら、かすれた声で言った。
「僕からも……お願いします」
蓮にぃも父に続き頭を下げた。