PRINCESS story

エレナ夫人は不思議そうな顔をしている琴葉に、ちょっと待ってて、と言うと、迎えの車のドアを開けて一匹の猫を抱きかかえた。


そして、琴葉に近づきながら言った。


「Because I heared you like a cat,
I brought it from my home.
(あなたが猫を好きだって聞いたから、家から連れてきたの)
It is a rare cat.
(珍しい猫なのよ)」


茶色と白の綺麗な縞模様、ピンとのびる立派なひげ。


なんだか高級感に溢れた猫だ。


「Thank you.
(ありがとうございます)
It is the cat which it loves.
(可愛い猫ですね)」


琴葉は笑顔で言った。

ただ、少しその笑顔に違和感を覚えるのはなぜだろうか?


いつもの笑顔じゃない、いや、むしろ何かを恐れているのを隠そうとしている笑顔…

俺の目には、琴葉の笑顔がそんな風に映った。


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