PRINCESS story

気のせいだろう、と思ってみたものの…


「Do you hold it?
(抱いてみる?)」

エレナ夫人にそう言われた琴葉は、間違いなく一瞬、戸惑いの表情を浮かべた。



琴葉…?

声を掛けようとしたが、俺の心配をよそにエレナ夫人はせかすように言う。


「Hey,please hold it.
(ほら、抱いてみて)」


琴葉は少しためらったが、やがて笑顔で猫を受け取り、抱きかかえた。


その瞬間、だ。

離れたところで俺達のことを見ていた、琴葉の付き人である河西さんが悲鳴のような声をあげた。


「姫!!いけません!!」



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