真っ赤なチェリーの復讐





「本当に免許あるんだろうなぁ!?」


「あります!…今は持ってませんが……。」






………はぁ!?






そこで、脳裏に甦る梨子の言葉。




― 「荷物は全て、『エース・マート』のロッカーに置いてきてしまいました。」





……免許証=ロッカーの中…………。





「……運転、ヘタ?」


「慣れていないだけです。免許を取ってから運転したのは、2回だけですから。」


「…………って、お前、それペーパーじゃねぇか!!」




ペーパードライバーに運転って……冗談じゃねぇ!!





「梨子、車停めろ。運転代わるから。」


「……朔ちゃん、気をつかわないでください。
私なら大丈夫です!
いつまでも優しさに甘えるわけにはいきません…。」





………俺、気ぃつかってんじゃねぇーよ!!お前の運転が不安なんだよっ!!



「ここからは山道です!
朔ちゃん、車酔いしないでくださいネ☆」







俺の胸いっぱいの不安を乗せて、黒塗りのベンツは山道へ突入。



あたり一面の紅葉も、今は全く目に入らない。






< 71 / 170 >

この作品をシェア

pagetop