訳あり少女と王子様
カツカツ…カツカツカツ…
『羅…皆、心配したんだぞ。
今日の朝早くに連絡きたんだ…お袋から。
羅がいない、携帯置いて出て行ったって。』
誰もいない廊下に兄さんの優しい声が響く。
責めようとはしない、私を優しく正す声。
ごめんね…兄さん。
それでも、私は帰れない。
「兄さん。母さん達に連絡、しないでね…
あ、別にしたって良いよ?帰らないけどね☆」
カチャっ…
『入って。話は中で聞く。』
兄さんがキャスト控室とかかれた扉を開け、中へ入るように急かした。